公開: 2022年1月21日
更新: 2022年1月21日
近年、企業が情報機器を利用してあるサービスを提供しようとするとき、必要な情報機器や設備を自社で購入して利用する方法よりも、必要な機器を保有している他社と、その設備を利用する契約を締結して有償利用することで、投資コストを削減し、リスクを低減する方法を採用する例が増えている。
このような契約には、利用する機器の信頼性や提供される性能など、提供されるサービスの質に関する契約内容を記載した「提供するサービスの質保証に関する契約」をまとめることが一般的である。我が国においても、このようなサービス提供に関する契約締結では、「提供するサービスの質保証に関する契約」を交わす商取引上の実践も導入されている。
しかし、歴史的に、取引に関して契約を締結する慣習は、日本社会には根付いていなかった。そのことから、契約書を作成しても、その内容については形式的な合意だけになっている例が多い。みずほ銀行と記憶装置群を提供している企業との間で締結された「提供するサービスの質保証に関する契約」も、銀行の業務を正常に遂行するために必要な、具体的な信頼性の水準や、最悪の場合でも提供されるべき性能の水準などに関する内容は、形式的で、業務の提供に本当に必要な水準ではなかった。